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初めて目にした眼差しの輝き。

最も思い出深いことはやはり出会いの時でしょう。保護犬の譲渡会や保護犬のお世話をするボランティア活動を通して知り合った方が大勢いて、特に、印象に残っている方がいます。近所の家で飼っている犬の虐待を目の当たりにして、何とかその犬を助けてあげたいと市役所に相談に行って紹介して頂いた方でした。女性の経営者でビジネスを展開する傍ら、保護猫や保護犬の面倒を熱心にされいてる方でした。初めてお会いした時に、開口一番、口にされた言葉に衝撃を受けました

「役所に相談に行くことは良いことだけど、全面的に頼りにしてはダメ!」公的な役目を担うところに申し出をしても埒が明かないケースが多いと言うのです。要するに、場数を踏んでいる自分に任せて欲しい、と言うので、わざわざ、当の虐待をしている家に直接、直談判に行ってくれました。色々と手を尽くしてくれましたが、結局は、その犬を連れたまま家族総出で、引っ越して行ってしまいました。

自分としては、その犬を引き取ってあげたいとも思っていたのですが、残念ながら今となっては、どこに連れていかれてしまったのか分からず終いでした。あまりにがっかりしていたからでしょうか、直談判して下さった方から、保護犬の里親にならないかと言う申し出をされたのです。その方は、犬の行末を最も心配される方で、本当に最期まで面倒が見られると確信を持った人でなければ、里親にしないことで有名な方だったので、何とか認めてもらえたこともあって、まずは、逢ってみることにしました。

多くの人間から、酷い扱いを受けた中型のミックス犬でしたが、それでもに人間のことが大好きなその犬は、紆余曲折はありましたが、やっと我が家の家族となりました。家内は幼い頃から犬や猫を飼っていましたが、自分は犬を飼うことは初めてでした。一目目が合ったときに、その犬はキラリとしたまなざしで、「あそぼ!」と言う仕草で走って近づいてきました。もうそのことだけで、子供のいない老夫婦のところにやってきたこの犬を何とか幸福にしてあげたいと、心に誓い、過去に受けた嫌な思いを全て忘れさせてあげられるようにと、大切に育てることにしました。最初に目にした彼のあの純真無垢な目の輝きを一生忘れることはないでしょう。