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とても食いしん坊だったカエサル

私が高校生の頃に、生後半年のミニチュアダックスフンドのオス犬、カエサルがやってきました。犬を買いたいとずっと親にお願いしていた妹に根負けして、ペットショップで家族全員一目惚れしたのがカエサルです。カエサルはミニチュアダックスフンドと言われながらも、5kg以上大きくなり、ミニチュア>カエサル>ダックスフンドというなんとも言えない大きさに育ちました。

毛並みもよく、整った顔立ちで、散歩にでかけると周りの人に話しかけられることも多く、散歩にいくのが私自身もカエサルも楽しみにしていたと思います。カエサルとの思い出は、私が大学生になり、アルバイトに明け暮れていた頃、深夜に帰宅した私が食べる夕食は、作り置きした夕食でした。その日のうちに食べるので、夕食に作ったものをお皿に取り分けてダイニングテーブルに置きっぱなしになっているものが私の栄養源でした。

ある日、クタクタになって帰り夕食を食べようとすると、大きなお皿にはキャベツとトマトときゅうりのみ置かれていて、メインといわれる食べ物はありませんでした。母に、メインのものは温めたり、どこか違うところにあるか尋ねると、「そんなことはない、全部まとめてお皿にのせたわよ。」との答え。お皿を確認した母は「あれっ!唐揚げがないじゃない!お父さんあなた食べた!?」「食べてないよ!」との問答。そのとき、そっとリビングから離れようとするカエサルを発見。私は「カエサル!ちょっとお口見せて!」と言うとカエサルのお口を開けて匂いをかいでみました。香ばしいにんにくの香りと美味しそうな油の匂いがしました。

「カエサル、、唐揚げおいしかった?」と聞くとカエサルは尻尾をふりながら笑顔で頷いたように見えたのです。そのエピソードは我が家の鉄板ネタとなり、今でもその当時を思い出すとニヤけてしまいます。カエサルは18年の生涯を全うし、家族に先立って天国にいってしまいましたが、きれいな毛並みと整った顔立ち、そしてあの夜の口の匂いは今でも忘れません。唐揚げを食べる時、今でもカエサルのことを思い出します。